2012年12月25日
ブログ移転しましたので
posted by niiho at 13:37| 雑記
2012年12月02日
【牛肉魂】ブログ移転しました
posted by niiho at 16:45| 雑記
2012年11月28日
ブランドとブランドネーム〜共感企業〜
ブログ移行中につき更新を控えていたのだが、というのも書けば書くほど記事の移行が手間なのだ。
まぁ、そんな理由で書かないのもどうかと考えを改めまして2日間の帯広ツアーで感じたことを少しづつ
書いてみたいと思います。
震災以降、「共感」という言葉をやたら耳にするようになった。
欲を刺激してモノを買う時代から取り組みなどに「共感」して消費が動く時代になった。
いや、なりつつあるのかぁ、というのが本当のところだろう。
しかし現実には不景気も影響して安価なモノに目がいってしまうのが一般的のように思う。
別にそれが善でも悪でもなく、いくら志があってもお財布の中身と相談しなければいけない
それが生活者であって私もできれば高いより安いほうが良い。
さて、帯広でオークリーフ牧場の柏葉社長とお会いする機会をいただいた。
セッティングしていただいた北村貴さんには感謝感謝でお返しするものがなにもないのが心苦しい。
オークリーフ牧場は4000頭の牛を10人で飼育していてそのスケールのデカさにまず驚いた。
地域内循環の畜産を行い、動物にやさしい環境を作り、エコフィードで環境負担を低減し
やわらかな空気が流れる澄んだ牧場だった。
北海道という土地柄なのかもしれないが、のんびりとした空気が漂う中、
柏葉社長の大らかさから醸し出す素敵なオーラが今回訪問した私たちを魅了した。
近江牛の生産農家で平均200頭ということを考えると、4000頭は個人ではなく1つの企業だ。
私がいままで出会ってきた4000頭規模の畜産経営者は悪い顔をしている人が多かったせいもあり
柏葉社長のやさしさがにじみ出た顔にはある意味衝撃だった。
そんな柏葉社長が手塩にかけて育てた牛たち(F1)は「未来めむろ牛」として出荷されていく。
サシを追い求めず、健康を追い求めるためにエサにこだわるあたりは、スケールは違えど
私たちの取り組みと同じであり「共感」できる部分が多くあった。
さて、今回の帯広行の目的はJOYWOWの阪本啓一氏の呼び掛けによるものでちゃっかり便乗したと
いうわけだ。
オークリーフ牧場を後にして、セミナー会場へ向かう車中で1冊の本が頭に浮かんだ。
阪本氏の著書で「共感企業」というタイトルの白っぽい表紙の本だ。
実は会社の本棚に飾っているだけで読んでいない。
読むタイミングを失った1冊である(阪本さんごめん)
翌日、雪が舞う帯広を後にして無事遅れながらも飛び立ったJAL
どうにも「共感企業」が気になったので家には帰らず会社へ本を取りに直行した。
「共感企業」
共感企業とはなにか、ではじまるプロローグ
私の頭脳がどんくさいのか阪本さんが先走りしすぎているのかこの本はズシンと響く。
いまこそこの1冊を読むべきとだいう内容が詰め込まれているではないか。
一応断っておくが、私はなにも阪本さんをヨイショするつもりも本のPRを頼まれたわけでもない。
11月14日に京都で農研機構の近畿地域マッチングフォーラムと日本産肉研究会の第10回学術集会が
開催されたのだが講演終わりに聴講者の方からこんなことを言われた。
事前に配布された資料に講演者の紹介があって、サカエヤさんのロゴマークを見て
あ、私が以前にお肉を購入した店だというのを思い出した。
つまり、店名は忘れていたがロゴマークを覚えていたので(この場合はなんとなくだろうが)
私と繋がったというわけだ。
この方が購入されたのは「熟成肉」ということだったので、恐らくキーワード検索で当店にたどり着いたのだと推測できる。
「共感企業」では、「ブランドは売るのではなく選ばれる」と書かれている。
ブランドとブランドネームは違うということもなるほどとヒントになった。
例えばこういうことだ。
近江牛.comはブランドネームで「近江牛熟成肉を販売する日本唯一のネットショップ」が
ブランドということになる。
そういった2つの視点で街中を探索し、テレビCMをみるとおもしろいことに気付く。
検索商材の知人たちはパンダだのタヌキ(笑)だので右往左往しているが
検索の時代だからこそブランドが重要であり、そして1人の顧客の後ろには未来の顧客が控えているという
ことがものすごく理解できる。
もちろん、ロゴマークも企業の旗として大切な役割を担っている。
阪本啓一氏の書下ろし『「たった1人」を確実に振り向かせると100万人に届く』は
私もすでに読んではいるが、いま読めばより深く違う視点で理解できそうな気がする。
なにわともあれ気づきの多い実りある帯広2日間だった。
ご縁のあったみなさま、ありがとうございました!
posted by niiho at 16:06| 雑記
2012年11月25日
正体の見えない割安な肉と顔の見える安全な肉
近江牛が入荷すると販売前に試食するのだが、ほとんどの場合はステーキか焼肉で、
炒めたり煮たりすることはほとんどない。
しかし、これからの時期はすき焼き肉がよく売れるということもあり、昨日は簡単な具材も用意して
すき焼きで試食してみた。
赤身のウデ肉から特に硬そうな部分を選んでの試食だったが抜群においしかった。
サシの多い肉のような「とろけ感」はなかったものの胃もたれしないキレのある味わいは
普段飲まないビールが欲しくなるほど秀逸な味だった。
ところで、外食の多い私だが、ついつい気になるのが日本中どこで食べても「牛肉」だ。
私が幼いころは、牛肉といえば「ハレの日」の食べ物で、滅多なことでは口にすることができなかった。
正月に家族ですき焼きを食べるぐらいで、現在のように牛丼屋もなければコンビニもない時代だ。
私が外食でぜったいに行かない店がある。
誘われることもないが割安感を前面に出した食べ放題の焼肉だ。
10年ほど前は食べ放題の焼肉チェーンが人気を集めたのだが、
2001年の牛海綿状脳症(BSE)問題で、消費者の食肉に対する安全が高まったのをきっかけに
淘汰されていった。
しかし、先の見えない不景気に加えて牛肉のユッケ事件やレバ刺し問題などで消費が低迷すると
ふたたび食べ放題にシフトする店をちらほらと見かけるようになった。
単品よりもこのほうが割安感があるのだろう。
しかし「企業努力で安く」を謳い文句にしている店をよく見かけるが、
牛肉の背景がまったく見えず、産地すら不確かな場面に出くわすこともある。
米国産や豪州産と明記していればまだ良いほうで、アルバイトスタッフに聞いても
答えられないといったことも少なくない。
食べ放題の店にそこまでの接客レベルを求めるのは無茶なのかも知れないが、
消費者が求める安全、安心と実際の行動には「価格」という障壁による隔たりを
感じずにはいられない。
なにか問題や事件が起これば、また立ち止まるのだろうが、一方では「顔の見える食材」を売りにしたい
飲食店が増えてきているのも事実だ。
「本物志向」という言葉を一時よく耳にしたが、一部の飲食店では生産者や産地との良好な関係を
継続して高くても信頼のできる安全な食材を使い続けている。
そこに消費者が共感し熱烈なファンとなり末端からバックアップできている仕組みが自然と作られている。
昨夜は、大阪マラソン前夜ということもあり、賑わいの大阪の夜を満喫したのだが2極化している
飲食店に感動したり呆れたりと忙しい夜だった。
さて、数か月前にきたやま南山さんで開催した「やまけんが育てた短角牛」のイベントで同席した
葉山の山口さんとモモ肉のドライエージング話で盛り上がり、じゃー試しにやってみますかと勢いと
その場のノリで引き受けた熟成肉が27日で40日を迎え解禁となる。
山口さんがお店で使うためには近江牛では価格的に合わないとのことなので、鹿児島県産の黒毛和牛で
しかも肉質が硬い経産牛を選ばせてもらった。
もともと赤身の多い硬い肉をいかにしておいしく食べさせるかということで初めたドライエージング
だったので、そういう意味ではドンピシャな肉をチョイスしたということになる。
仕上がりが良かったらサイトでも特例として販売する予定なので、興味のある方は楽しみにしていてください。
posted by niiho at 12:46| 雑記
2012年11月23日
牛肉の新しい価値を求めて
写真は京都ホテルオークラで開催された「信州プレミアム牛肉」発表会のメニューの1つ、「牛ロースの白胡麻と黒胡麻焼き」だ。
カットした状態では分かりにくいのだがカット前はこんな感じ。
牛肉の評価は格付けによって決められているのだが、これは日本格付け協会による牛枝肉取引規格に基づいて格付け委員が行う。しかし、委員によってその評価はまちまちで厳しい格付けのときもあれば逆に甘い格付けのときもある。
厳しいとはどうみてもA5なのにA4の評価であったり、甘いとはその逆である。
信州プレミアム牛肉は、格付けにプラスしておいしさを左右する成分の一つであるオレイン酸の含有率を使った独自の認定を行うというものだ。
つまり、科学的に測定した牛肉のおいしさをブランド化するというもので、牛枝肉取引規格のうち脂肪交雑基準および胸最長筋(ロース芯)中のオレイン酸含有率について、以下のいずれかの条件を満たす黒毛和種の去勢又は未経産牛を「信州プレミアム牛肉」として認定するのだそうだ。
@脂肪交雑7以上(4等級の上限)及びオレイン酸の含有率55%以上
A脂肪交雑5以上(4等級の下限)及びオレイン酸の含有率58%以上
B脂肪交雑8以上(5等級の下限)及びオレイン酸の含有率52%以上
鳥取県でも「鳥取和牛オレイン55」という新ブランドが昨年に誕生した。
こちらは、脂肪中に平均55%以上のオレイン酸が含まれていれば認定対象となるそうだ。
信州、鳥取ともにオレイン酸の測定には専用の測定器を用いるのだが、科学的に味が検証できればおいしさの裏付けが証明され、脂肪(サシ)の量を競うブランド和牛の世界とは違った価値観が消費者にも販売者にも根付くかも知れない。
脂肪交雑(サシ)の多い牛肉ほど、ジューシー感や「和牛香」と呼ばれる香りが高まることは専門家の調査でも明らかになっているが、おいしさの指標の1つとしてオレイン酸は以前より注目されていた。
しかしある研究者によればオレイン酸は味には関係ないとの意見もある。
どちらにしても、ブランド力が強い牛肉がどうしてもおいしのではないかと誤解されがちだがこういった証明がされることにより、無名なブランド牛にも日の目が当たれば牛肉の需要がもっと広がることは間違いないだろう。
なにを選ぶのかは消費者であり、現在取り組んでいる私たちの取り組みも同様のことが言えるのだが万人受けすることを望んでいるのではなく、1人でも多くの方が共感してくれれば必ず価値が繋がると思う。
近江牛はブランド牛として名前は知られているが、高評価を受けるのはサシがたくさん入った格付けの良い牛なのだ。同じような環境で育った牛でも格付けが低いと評価はされない。
味に関しては、格付けにはあまり関係なく、おいしいであろうという思い込みの部分も否定できない。
ブランド牛でも、もっと言えば同じ近江牛でも販売者の持論によって大きく異なる。
A5などのサシがたくさん入った肉を求めるなら当店は得意ではないので他店にお任せすることになるし赤身でおいしい肉を探しているなら当店で用意することが可能だ。
良い牛の条件は「血統」「飼料」「環境」だといわれている。
私もその通りだと思うのだが、余裕を持って管理できる頭数と1頭1頭に注がれる愛情が最も重要だと思う。
当店では、生産者情報や飼料などを公開しているが安全性を公開すればするほどより安全性を求められる。
同じようなことだと思うのだが、サシを追求すればするほど牛に負担をかけ事故に繋がるケースも少なくない。
「私たちが食べている動物が何を食べているかで私たちの健康が決まる」
この言葉を今一度じっくり考えてから商品を手にとっていただきたい。
posted by niiho at 12:55| 雑記
2012年11月21日
愛農ナチュラルポークのお披露目会メニューが決まりました
12月6日(木)開催の愛農ナチュラルポークお披露目会のメニューの打ち合わせで
サルティンボッカ木村シェフが試作した料理が抜群にキレイだった。
キレというのは、見た目とおいしさを表しているのだが、ソムリエの肩書きも伊達じゃなく
ワインのチョイスもすばらしかった。
リエット、パンチェッタ、ロースハム、サラミ、テリーヌ、コッパ・・・
牛肉オンリーの食生活なので、豚肉料理を食べる機会が少ないのだが
いやはや豚肉もなかなかどうしておいしいものだ。
よくよく考えてみると、日本人の食卓に最もなじみ深いのは牛肉より豚肉なのだ。
ある統計を見ると、肉の年間購入量の約5割が豚肉で次いで3割が鶏肉、牛肉は2割にとどまる。
関東は豚肉で関西は牛肉と思っている方、多いと思います。
私もそう思っていましたが、すでに西日本でも豚肉の消費量が牛肉を上回っているそうです。
でも、支出金額ベースでみると、西日本では牛肉がトップに躍り出る県が多いそうだ。
そう聞くとなんかホッとするのだが、愛農ナチュラルポークは私の中では別格なのだ。
あのおいしさは度肝を抜かれたというか感動した。
これはうまい!今まで食べてきた豚肉が1番や!などと吹きまくっていたのだが
状況が少し変わってきた。
屠畜から7日ぐらいは脂も甘くて私が感動したそのものの味が楽しめるのだが
とにかく頭数が少ないことから、真空パックにして少しでも日持ちさせようと試みた。
10日過ぎたころにもう一度試食したのだが、なんと普通の豚肉になっていた。
脂の甘さは維持しているものの特別なおいしさは感じられなかった。
もちろん、おいしいのには変わりないのだが、それなら「特別」な豚ではなく
普通においしい豚肉止まりなのだ。わざわざお披露目会をするほどでもない。
う〜ん、困ったなぁ、と悩みはしたものの解決法は単純に7日で売り切ってしまえばいいことで
出荷頭数の少ないときは売り切れにして、多いときは店舗でも販売するようにすれば均一な味を
保てるしさらに希少性が増すというもの。
年間出荷頭数が50頭程度なので、近江牛.comサイト、京都のきたやま南山
南草津のサルティンボッカの3店のみで販売することになった。
悩ましい愛農ナチュラルポークだが、まずはこちらにご参加いただければ
最高の豚肉料理を堪能することができます。
私と南山チームからは、一頭仕入れだからできる「部位食べ比べ」で参加者の舌と脳を
感動させたいと思います。
愛農ナチュラルポークお披露目会(→こちら)
posted by niiho at 16:17| イベント
2012年11月18日
本日より再販する熟成肉は木下牧場さんの但馬系純粋近江牛です
ようやく仕上がった。
本日より再販しています。近江牛熟成肉(→クリック)
約1ヶ月品切れ状態が続いていたため「いつ再販ですか?」という問い合わせが
日によっては殺到中だった。
今回の熟成肉はかなりおススメです。
木下さんが最も得意とする「雪平×北国7の8」の血統です。
国産飼料で健康に育てた純粋な近江牛で格付けはたいしたことなかったのだが(失礼)
写真を見てもお分かりのように肉質といい色艶といい私の中ではA5です。
「霜降り信仰」が薄れ、低カロリー、低コレステロールの赤身肉に熱い視線が注がれている。
しかし、赤身肉ならなんでも良いのかというと、もちろんNOである。
熟成肉も赤身肉をおいしく食べるための1つの在り方であり、素のまま食べるのもありで
逆にサシの多い肉を熟成させるやり方もありだと思う。
実際、A5の肉だけを熟成させている焼肉店もあり、それはそれで共感してくれるお客さんが
いれば商売として成立するだろうし、私のようにA5の肉は仕入れ除外の考え方もありだと思う。
ところで、当店で熟成肉を購入してくれる客層はいかなるものかと調査をしてみた。
調査といっても、14名の購入者と電話で話す機会があっただけなのだが・・・。
8名が飲食関係者、2名が一般消費者、1名が大学研究者、2名が恐らく同業者、
残り1名は著名人だった。
圧倒的に飲食関係者が多いわけだが、そのうちの1名とはかなり話し込んだ。
鉄板焼きの店を経営されているらしく、お客さんの要望で熟成肉を購入されたようだ。
履歴を調べてみると今回で3回目。
常備しておくには熟成肉はリスキーなので常連のお客さんが予約時に指名するのだそうだ。
つまり常連客からの後押しがあってネットで調べて当店に辿りついたということだ。
最近では、シェフから常連客に提案することもあるらしく、頻繁に通ってくれるお客さんが
飽きないように工夫を凝らした結果、かなり喜ばれ評判になりつつあるということだった。
ここ最近、雑誌で熟成肉の特集が組まれることが多くなってきた。
料理人が考える熟成肉へのこだわりみたいな記事が多く、各々の考え方があって興味深い。
こだわりは品種であり、ブランドであり、さらには火入れに至るまでさまざまだが
恐らくこれが正解というものは永遠にないのかも知れない。
それほどまでに肉とは奥深いものなのだ。
だから飽き症な人が終わりの無い底知れぬ知識と経験がモノを言う肉の業界で
長く勤まるのかも知れない。
私のこだわりは、牛をとりまく環境であり、それを管理し育てる生産者であり、
餌であり、屠畜後の熟成だ。
ホルモンは新鮮なほうが良いが、牛肉は少し寝かせた(熟成)ほうがおいしいと言われている。
米と肉は腐りかけがおいしいとは昔の人がよく言っていたが私の考え方は少し違う。
屠畜後、枝肉になり通常はそこから7日前後寝かせてから精肉にするのだが、予想外に肉が
売れてしまえば、急いで捌き(脱骨)して翌日には店頭で販売することがある。
寝かせたほうが繊維がほどけて柔らかくなるといわれているが、枝肉になってセリにかけられた
時点ですでに柔らかさとある程度の旨味は備わっているのだ。
もちろんそれを見極めるのが経験と知識でありプロの仕事となるのだが、いち早く精肉にしても
あっさりとした食感が味わえて評判が良い。
この1週間がめまぐるしかったのと多方面から質問攻めにあった内容がごっちゃになっていて
どうも支離滅裂になりそうなので今日はこのへんで。
牛肉は専門知識と経験豊富な職人さんがいる店で買いましょうということでまとめたい。
そして、本日から再販した熟成肉は最高に旨い!ということで今日はおしまい。
posted by niiho at 14:15| 熟成肉
2012年11月17日
霜降り肉と赤身肉の2極化、さてあなたはどっち派
京都ホテルオークラで開催された「信州プレミアム牛肉」の発表会に参加してきた。
京都食肉市場の関係者が主な来賓であり、私は関係ないといえば関係ないのだが
せっかくお誘いをいただいてので末席に加えていただいた。
前日が、農研機構の赤身肉にどっぷり浸かった1日だったのに対して
この日はま逆の「サシと香り」を評価基準とした1日となった。
「信州プレミアム牛肉」は、見た目の評価だけではなく、オレイン酸測定機を使って
味の検証も評価項目に入れているということだった。
とうとうここまできたかという感じだ。
京都ホテルオークラの料理長がフレンチのコース仕立ててメニューを組み
デザートのアップルケーキを入れて8品目の豪華な品々に私のお腹ははち切れそうだった。
さて、和牛の代名詞ともいえる「サシ」が消費者の間では薄れつつある。
とはいっても、先ごろ長崎で開催された全国共進会で最優秀枝肉賞に輝いたのが
1キロ当たり4万6660円(1頭2063万7718円)というから生産者にとっては励みとなる価格だ。
しかし、畜産関係者と消費者の価値観はかなり差があることは消費者に近い立場で商売を
している私にとってここ数年、ひしひしと感じることでもある。
「霜降り信仰」の崩壊と某雑誌には書かれていたが、そこまではいかないまでも
好みの2極化は消費動向に顕著に表れているのは事実であろう。
私もサシのある肉よりも赤身を好む。
とりわけ外食でサシのある肉を食べることはほとんどない。
シェフがどのような能書きを言おうが食べる前から肉をみれば味の想像ができるのだ。
たまに期待を裏切られることもあるが、そんなのは稀でほとんどの場合、2切れも食べれば
十分満足してしまう。
そんなことを言っても、おまえとこでも霜降り肉を販売してるやないかと反論されそうだが
1頭仕入れをしている以上、ロースもバラもあるわけで当然ながら格付け評価が低い牛肉でも
多かれ少なかれサシがはいるのだ。
だから私は、A5は年に1〜2回程度であとはA3あたりを好んで仕入れるようにしている。
霜降り肉を否定するわけではないが、融点が低い雌牛の肉であってもくどいものはくどい。
当店で販売している霜降り肉は「あっさり」しているとの意見が多く寄せられる。
こう書くと他所を否定して自分ところの肉を正当化しているみたいに思われるかも知れないが
生産者を限定して、なおかつ格付けで目利きしていないため比較的サシが入っていても
あっさりとした食感であることは自信を持って言わせてもらってもいいかと思う。
さらに、先日の日本産肉研究会で講演された新宿溝口クリニックの定先生も赤身肉推進派で
定先生は、分子栄養学の観点から赤身のお肉を食べることを力強くおっしゃていた。
とはいっても最終的には好みの問題で、ブランド牛で心の満足をしたい方もいれば
糖質制限やダイエット目的で炭水化物を制限して赤身肉を積極的に食べる人もいるでしょう。
生産者にとっては赤身の牛を育てるよりもサシをたくさん入れて共進会なんかで
優秀賞をとるほうがやりがいがあるとは思うのだが、私は私自身が食べて旨いと思える肉だけを
これからも販売していきたいし、そういう牛を育ててくれる生産者を応援していきたい。
posted by niiho at 19:06| 雑記
2012年11月15日
脂肪が少なく肉本来の味が楽しめる近江長寿牛
今日は予定していたことが早く終わってしまったので昨日の続きを書き上げたのだが
なんと誤って削除してしまった。
みなさんも1度は経験があるかと思うのだが、体の力がすべて抜けてしまうとはこのことで
また1から書く気力は相当な労力であり、つま先から全身に気を充満させたような錯覚をおこさない限り
燃えるような気持ちでPCに向かえない。
とまぁ、そんなことを愚痴っていても仕方がないので気を取り直して昨日の続きだ。
農研機構の近畿マッチングフォーラム&日本産肉研究会の意見交換会・情報交換会として
6種類の「特徴のある和牛肉」を試食したのが先週の金曜日のことだった。
聞きなれない、というか初めて目にする牛肉ばかりでわくわくしながら焼き上げた肉を
口にしたのがだ・・・
まずは焼肉用のカットよりやや厚めにカットして焼いてみた。
硬い、とにかく硬くて私が知っている経産牛の硬さを遥かに超えていた。
香りも様々で、ある肉なんかはビニール臭がしてとても食べられるものではなかった。
ものすごく失礼なことを書いているのは承知だが、私が感じたままに書いているのでご容赦いただきたい。
果たして、これを当日の試食として出していいものなのかとも思ったのだが
とりあえず研究者の方々に現状を知っていただき計算では図れない牛肉の奥深さを知っていただこうと
このように思ったわけで、しかし南山でやる以上はどこの牛肉であってもおいしく仕上げることが
プロの仕事であり、江口さんと相談した結果、試食した牛肉の特性を踏まえた上でカット方法を変える
ことにした。
それと冷凍で届いたものが不評だったこともあり、当日までに十分にドリップを出してしまい、
通常の冷蔵温度に馴染ませることで肉質が変化するのではないかと期待した。
さて、当日、奇跡が起こった。
奇跡とは大げさかも知れないが、それほどまでに私の中ではあり得ない肉質であり味だったのだ。
研究としての肉ならそれでも良いだろうが、私は販売の視点で試食をしたので少々厳しく
みさせていただいたということもある。
驚くほどおいしく仕上がっていたのだが、香りもよくサシが入った肉では味わうことができない
「噛み応え」と食後のスッキリ感、すばらしいの一言だ。
もちろん、各牛肉の飼育状況などのストーリーも講演でお聞きしているのでそのあたりも加味している。
たとえば、「放牧仕上げの熟ビーフ」は、穀物飼料で肥育された牛の約2倍の共役リノール酸が
含まれるということやω-6脂肪酸とω-3脂肪酸をバランスよく含んでいることでヘルシーに
仕上がっている。
さらに、耕作放棄地に経産牛を放牧することで除草管理や鳥獣被害を軽減させることにも役立っている。
といったことを事前にインプットされているのといないのとでは一味違うというものだ。
ともあれ和牛はサシ優位で評価されるが、それはそれで先人たちが築いてきた努力の賜物なので
これからも重要視されるべきなのだが、それとは別の評価があっても良いのではないかと思うのだ。
サシがすべてのような取り組みをされている生産者や販売者には理解できないかも知れないが、
生産者を守るため、牛や人間の健康を守るためには必要なことだと常々思っている。
当店でも経産牛を近江長寿牛として販売しているが、熱烈なファンがいる。
リブ&サーロインはドライエージングにしておいしく仕上げているのだが
カタロースやモモ系は焼肉用にカットして通常販売している。
スーパーや百貨店のバイヤーたちは、こういったすばらしい牛肉が日本にあることを知って欲しいし
世に出すためにぜひ協力していただきたい。
posted by niiho at 15:03| イベント
牛肉の価値を再構築する
農研機構の近畿地域マッチングフォーラムと日本産肉研究会の第10回学術集会が
14日と15日の2日間に渡り開催された。
農水省の方々、研究者の方々、飼料関係者など畜産に関わりのあるみなさんが一同に会し
意見交換できる場に参加させていただき非常に有意義な時間を過ごさせていただいた。
私は、日本産肉研究会の「牛肉の価値を再構築する」という大タイトルのなかで
「牛肉の新しいブランド戦略」についてお話させていただいた。
私の話はさておき、日本が世界に誇る「和牛」とは別の価値観で赤身で味のある牛肉を
なんとか新しい価値として世に出せないかと研究されている背景も知ることができた。
しかし、いくらすばらしい取り組みでもマーケティングに欠けており、現場に落としこめて
いないことがボトルネックとなっている現状も見え隠れした。
一般に出回っていない未知の牛肉を味わう機会をいただいたが、ぜひテーブルミートとして
根付いてほしいものだ。
まだまだ書きたいことはあるのだが、とにかく中身が濃い2日間だったので
ゆっくり机に座れる週末あたりに改めてまとめてみたい。
※木下牧場さんの牛肉の購入についてお問い合わせをいただいておりますが
次回の入荷は、22日頃になります。サイトからご購入できますのでよろしくお願いします。
近江牛.com(→クリック)
posted by niiho at 02:38| イベント