2012年09月03日

「肉牛ジャーナル」で特集を組んでいただきました!

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どの業界にも「業界誌」なるものが存在するかと思われるが、
肉牛を飼っている農家さん向けに発行されている専門誌がある。

「肉牛ジャーナル」という我が国唯一の肉牛専門誌がそれだ。

肉屋は読まないし、ましてやレストラン関係者も読まない。
というか、この雑誌を知らないと思う。

もし、知っている、もしくは購読しているという方がいれば
よほどのマニアではないだろうか。

私はマニアなので購読しているが、じつにおもしろい。
9月号は、「生産と消費を結ぶ食肉業者」の特集が組まれていて
業界内で大いに反響を呼んでいる。

表紙をめくると7ページに渡って当社と生産者の取組みが掲載されている。
1ページぐらいの掲載だと思っていたので雑誌が届いて驚いた。

しかもですよ、私も過去、結構いろんな雑誌に掲載してもらったが
意図しない編集をされたり、私の発した言葉とは違う表現で掲載されたりと
ちゃんと原稿確認したのになんやねんこれは!といったことも少なくないのだ。

しかし、今回の特集記事は、忠実に私の言葉そのもので掲載されている。
当社と木下牧場の関係性、取組み、赤身肉を求めるワケ、美味しさの見える化など
この部分だけ切りとっても1つのストーリーとして安全への信頼性へと繋がる。

この記事だけで、私がこの10年どういったことに取り組んできたのか
わかりすぎるほどわかる。

よく10年後はどういった会社にしたいですか?
と聞かれることがある。

正直、そんなこと考えたこともない。

計画性がないと言われるかも知れないが、畜産業界は1960年代の0-157からはじまり
2001年のBSE問題、そして偽装や口蹄疫、牛肉ユッケ事件など次から次へと災いが絶えない。
そんなこと考えてる暇もないぐらいだった。

その都度、牛肉の消費が落ち込み、風評被害による牛肉離れが起こる。

そして消費者があたりまえだと勘違いしている「安全・安心」が再びクローズアップされる。

要は、これらの繰り返しをここ10年やっているのだ。

会社を大きくすることはあまり考えたことがないが、たぶんこれからも考えないと思う。

それよりも、1人でも多くの方が当店の牛肉に価値を見出してくれるよう
いままでどおり変わりなく生産者の方々と一緒に取り組んでいきたい。

土日の2日間、高知で開催されたネットショップの合宿勉強会に参加してきた。
学びの多い合宿であり、すばらしい講師の方々のお話を拝聴することができた。

私もパネラーの1人としてお話しさせていただき、自分で話しながら
道を踏み外していないことを確信できた。

すべてにおいて「本物」を作り上げていかなければならない。


posted by niiho at 13:46| メディア

2012年08月13日

国産飼料100%で育てた近江牛が注目されている

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7月19日に開催された国産飼料100%で育てた近江牛(りんか号)のイベント
「吟撰但馬系プレミア近江牛お披露目会」の様子が日本で唯一の食肉業界紙、
食肉通信に掲載された。

現在の日本における食肉事情は、日本食肉格付協会による枝肉格付基準に沿って
価格が決定される。セリでもA3とA5とでは始まりの価格が違うのだ。

こういった事情から「和牛=霜降り」が絶対的な価値のように思われている。
実際、精肉店の仕入れ担当者や食肉問屋も、サシで価格の優劣をつけている。
いくら仕入れ値が高くても、サシが乏しかったら高く買ってもらえないというわけだ。

しかし、消費者は本当にサシの良く入った霜降り肉を求めているのだろうか?

私なんか焼肉するときは、霜降り肉1枚、赤身肉9枚ぐらいの割合がちょうどいい。
外食で霜降り肉を食べることはほとんどなく、グルメ番組でサシがビッシリ入った肉を
みるだけで気持ち悪くなることがあるぐらいだ(木下牧場の美奈ちゃんも同じことを言っていた)

日本の畜産は輸入飼料への依存度が高く、牛にサシを入れるためには高カロリーな
濃厚飼料が必要だ。

そこで、私たち(きたやま南山、木下牧場)は、良質な赤身肉を作るにはどうすればいいのか、
ということを考え、国産飼料100%でしかも粗飼料(牧草)中心に給餌することに行きついたのだ。

仕上がりは、予想以上にサシが入り少々ガッカリしたのだが、味は予想以上においしかった。

牛肉にはトレーサビリティがあり生産履歴を追求できるが、飼料にはそれがない。
私たちの取組みでは、飼料にもトレーサビリティをつけ、安全面を遡及していきたい。

ただ、安全面を追求すればするほど消費者に届ける価格が高くなってしまう。

私たちがいくら自信を持って世に送り出しても買い手があってこそなのだ。
たとえば、近江牛が400年の歴史があり、日本最古のブランド牛だと言ったところで
消費者が買わなくなれば一瞬にして淘汰されてしまうのだ。

消費者の方には、本当に安全なものを作っていくには経費がかかるということを
知っていただき、そういった取組みを懸命に行っている生産者を支えていただきたい。

プレミア近江牛の次回の出荷は9月を予定しています。


posted by niiho at 14:32| メディア