2011年12月12日

霜降り等級BMSとは

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霜降り等級BMS11とはどういう意味でしょうか?

お客さんから問い合わせがありました。
(詳しくはこちらをご覧ください)

毎日のようにメールや電話で様々な問い合わせや質問をいただくのだが
BMSの問い合わせははじめてかも知れない。

A4とかA5とかの等級をご存知の方は最近増えてきたが
さすがにBMSを知ってる方はそうそういないだろう。

いたとすれば、よほどの牛肉マニアに違いない。

BMSというのは、ビーフ・マーブリング・スタンダードの略で
脂肪交雑を評価する基準のことである。

例えば、最近はご存知の方が多い「A5」だが、このAというのは
じつは、3段階(A、B、C)あり、枝肉の重量に対してどれぐらいの肉が
とれるか、つまり歩留まりを表しているのだ。

ちなみにAは標準よりよい、Bは標準、Cは標準より劣る
といった具合だ。

BMSは1〜12に分けられ「サシの入り具合」に「肉の色つや」「肉の締りときめ細やかさ」
「脂肪の光沢」を加味して5つの等級に分類します。

1) 1   1等級
2)2   2等級
3) 3〜4  3等級
4) 5〜7  4等級
5) 8〜12 5等級


「A5」という言葉はよく聞くと思うのだが
たとえば「A5−12」という肉は、歩留まりがよく、肉の色や締り具合
脂肪の光沢に対する評価もサシの入り具合も最高、ということになる。

チャンピオン牛クラスになると「A5−12」の評価となるわけだが
ここまでくると、赤身系のモモ肉もサシがビッシリ入っているので
脂が苦手な方には向いていないだろう。

セリでは、明細に格付けとBMSが記載されているので
購買者はそれを参考にして、せり合うわけだ。

格付け等級が上がれば上がるほどセリ値も高くなる。

しかし、これらはあくまでも見栄えであって
格付けは牛肉を評価する「ものさし」であるということを知ってほしい。

つまり、格付けに味はあまり関係ないのだ。

とはいっても、キレイにサシが入った牛肉は
見るからにおいしそうで正月ぐらいは奮発するのもいいかも知れない。

自分へのご褒美として。

ちなみに当店では、格付けではなく
だれが育てたのかを重要視している。

つまり、当店にとっての格付けとは
A等級であれB等級であれ、どちらでもいいことなのだ。

要は、飼養環境や真面目な生産者の取り組みを知ってもらい
銘柄や等級よりも、安全でおいしい牛肉を販売し続けていきたい。

だから、他店が雌牛だのA5だのと派手なキャッチコピーで宣伝する中
当店では、堂々とこの肉はB3です、とかA3ですと証明証を肉に付けて販売している。

もちろん、格付けは結果なので、なかにはA5もあるのだが
正直、あまり取り扱いたくはない。


どちらにしても、これからは生産者も販売者も消費者も
一緒になって貢献しあう関係を構築して、安全で安心して食べられる
肉牛づくりを進めていきたい。


posted by niiho at 20:08| 格付け

2011年10月14日

霜降り肉より赤身肉に高評価の牛肉大国フランス

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夏は焼肉、冬はすき焼きといった具合に
肉屋の売れ筋商品は季節によって異なる。

12月に入ると、イベントが多いこともあり
近江牛ステーキの注文が多くなるのだが

特に、ホテルやレストランを取引先に多く抱えている問屋は
ヒレの引き合いが強くなるので、商品確保に奔走することになる。


さて、牛肉(枝肉)の評価は、格付けで決まってしまうということは
ご存じの方も多いと思うのだが、では実際にどうやって決められているかというと、

格付けは、農林水産省が枝肉に対して全国共通の取引規格を設け
社団法人日本食肉格付協会が全国の中央卸市場や地方卸市場などの
食肉センターなどで格付けを行っている。

枝肉規格は、定められた解体、整形方法によって処理された牛の枝肉で行なわれ
2分体左半丸の第6〜第7肋骨間を平直に切り開かれた部分で行う。

「ばら」の厚さ(皮下脂肪を含まない)、筋間脂肪の厚さ、皮下脂肪の厚さ
胸最長筋(ロース芯)を総合的に判断し、枝肉規格が決定される。

ただ、担当者によっては、評価がマチマチで
写真のサーロインはA4評価だったが、もしかすると担当者が違えばA5評価だったかも知れない。

大雑把な言い方をしてしまえば、格付けはサシありきとも言えるのだが
たしかにサシが多いと見た目はキレイだし、どうしても目がいってしまう。

さらに、サシが多くても雌牛は脂の融点が低いので
あっさりしていて、いくらでも食べられると思っている人が多いのが現状だ。


では、実際にはどうなんでしょうか。


もちろん、1切れ、2切れ程度ならおいしく食べることができるが
サーロインの平均カット基準200gをペロッとたいらげる方はそうそう
いないんではないでしょうか。


特に、A5のサーロインなんかはサシが多すぎて
雌牛であれ、料理法がどうであれ、胃もたれが尋常ではなく
当店では、年々仕入れることも少なくなってきている。


ただ、A5評価を受けた枝肉は市場でも高値で取引されているのが現状なので
生産者にとっては、どうしてもA5を目標に肥育するわけです。


日本は霜降り信仰が強く、それは国外の牛肉事情とは少し異なる。

牛肉大国といわれているフランスでは、
肉用品種だけでも約20種あり、25等級にランク付けされている。

部位も47にわけられるというから日本の畜産事情からは想像もできない。

日本のようにサシ重視ではないので、
霜降り度合いが高ければ高いほど高評価というわけではない。

脂肪率等級では、標準的な3が消費者の好む最高ランクとみなされる。

つまりは、見た目よりも「味」が最重要視されているということだ。

さすが畜産大国といわれているフランスだが、
霜降りであることが文化のような日本の畜産には、個人では理解できても
ビジネスとして考えた場合、非現実的なのかも知れない。


posted by niiho at 13:39| 格付け