2012年10月07日

「健全な牛肉」について考えてみる

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産まれたばかりの子牛だ。
牛舎に備え付けの監視カメラの映像をパチリとやったもの。

ブランド牛と呼ばれる近江牛や松阪牛など、大半は8ヵ月程度の子牛を買い付けて
自分ちの牧場で育てるので、このような光景は珍しいのだ。

ホルスタイン(乳牛)は、お乳を搾るのが目的なので
産まれたばかりの子牛は1週間程で親と離されあとは人工乳で育ちます。

黒毛和牛の雌は、子牛を産むのが目的なのでしばらく子育てしてから
離乳後は人工乳で育てます。たまに育児放棄する牛もいますが・・・。

当店の牛を育ててもらっている木下牧場は、繫殖肥育一貫なので
子牛を産ませて育てるまでが仕事です。
その後は、私が引き継いでおいしく肉にするのだが、こういったエンゲージメントが
当店の安全と安心を支えている。

私は、2006年頃から「健全な牛肉」について真剣に考えるようになった。
何が原因でそんなことを考えるようになったのかは忘れてしまったが
木下牧場というすばらしい生産パートナーがいて、支えてくれる仲間(お客様)がいるから
成り立つ事業であり、同業者からみれば異端すぎて、おまえらアホちゃう?の世界だと思う。

問屋さんなんか特にそう思うだろう。
牛は経済動物なのでいかに儲かるか、いかに商業ベースに乗るかで目利きし値決めするのだが
そこに私のようにエサだのこだわりだのを浸らせると問屋としてはお仕事にならないわけだ。

だから私は、問屋機能を持たない「肉屋」に徹している。
でも、ここが大事、「ただの肉屋」ではない。

詳しくは、今週末発売の阪本啓一氏の最新マーケティングブック!
『「たった1人」を確実に振り向かせると、100万人に届く
「市場の空席」を見つけるフォーカス・マーケティング』をご覧ください。
(→クリック)

「健全な牛肉」は、エサの話抜きでは語れないのだが
日本の畜産の大半が輸入飼料に頼っているのが現状でこれはどうしようもない。

簡潔な理由は、国産飼料で国産牛すべての胃袋をカバーできない。
仮にできたとしても、いまの販売価格のおそらく10倍ぐらいの値付けをしないと
採算が合わなくなるだろう。

当店で扱っている近江牛も、いまのところ100%国産飼料で育てた牛肉ではない。
来年の10月から正式に販売する、オール国産飼料で育てたプレミアム近江牛までちょうど1年。
木下牧場と藤井牧場で現在取り組んでもらっているのだが、おそらく市場では支持されない牛肉に
仕上がるだろう。

しかし、それはあくまでも商業ベースでの目線であり消費者目線ではない。
私が目指している牛肉とは、赤身主体で味が濃く、けっしてしつこくない脂身
牧草中心だが臭みがなく、食べても食べても体重が増加しない牛肉なのだ。

私は、1億2800万人を相手に商売しようなんて思っていない。
近江牛.comを訪問し、私たちの「考え方」に共感してくれる方だけで十分だ。

いま頷いているあなたのような方が振り向いてくれる、そんな牛肉を販売したい。

それができるのは、私たちだけだと少しだけ胸を張って言えます。



posted by niiho at 12:37| 雑記

2012年10月02日

私たちが食べている動物が何を食べているかで私たちの健康も決まります

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枝肉でドライエージングさせているのだが、白黴(シロカビ)が発生しているのが
お分かりいただけるだろうか。

「黴」と聞くと、聞こえはよくないのだが、白黴は筋肉内の水分によって増殖し
水分が少なくなると死滅するのでご安心を。

こういった写真は、肉関係の方は興味深く見ていただけるのだが
そうではない方にはキツイとのご意見を伺ったことがある。

ほな載せんなよ、て話ですが(笑)

先日、あるイベントに熟成肉を使うことになったのだが
さてだれに料理してもらおうか、ということで数名の料理人が手をあげてくれた。

みなさん経験豊富な方たちばかりなので、熟成肉焼くぐらい簡単なものという感じで
余裕しゃくしゃくなのだ。

豚肉を熟成させたことがありますから・・・
子羊を熟成したことがありますから・・・


しかし・・・


ドライエージングビーフはそんなに甘くない。

最近、いろなところで熟成肉の話を聞いたり質問されたりするのだが
レストランの厨房内で熟成させているケースが非常に多い。

先日も、ちょっと見てください、熟成に成功しました!
というので某所へ見にいったのだが、確かにそれなりの香りはしていた。
ただ、肉色は茶色っぽくネトが出ていた。つまり腐っているのだ。

売れる料理を作りたい、そんな思いから流行りの料理を取り入れ
気がつけば業態が変わってるやん、という店も少なくない。

経験と知識がなければ見よう見まねでできるほど甘くない。
自店の強みをみつけて磨きたおすことが賢明であり長続きするのだ。

特に熟成肉は、経験と知識に加えて設備がなければうまくいかない。
しかもドライエージングとなればなおさらである。

レストランの厨房内で簡易的に行われる熟成肉は、腐敗する可能性があり
万が一、お客様が食べて事故にでもなれば、ユッケ問題のように1店舗の問題ですまない。

さて、私も会員である日本ドライエイジング普及協会の会長、服部津貴子さん
(学校法人服部学園服部栄養料理研究会会長)が会のHPにこんなことを書かれている。


38年前に始まったアメリカの食育のスローガンは「食べたものが私自身、そして貴方自身です。
私の健康は何を食べたかで決まります」となっています。
食べたものがその人自身となっていきますので、「バランスの良い、安全な食べ物が大切なんだよ」ということを日本の食育でも教えています。私たちが食べている動物が何を食べているかで私たちの健康も決まります。


短い文章だが大切なメッセージが込められているように思います。
特に「私たちが食べている動物が何を食べているのか」という点においては、
先に開催したプレミア近江牛がまさにそうであり、見えない輸入飼料に依存せずに、
目に見える国産飼料を食べさせて育てるという取組みが今後も注目されると思う。

ということで、少し関連したセミナーをご案内させていただきます。

【11/13日本産肉研究会 第10回学術集会】

11月13日に京都にて、「日本産肉研究会」のシンポジウムが開催されます。
一般参加もOKなので、ぜひご来場いただければうれしいです。

2012年11月13日(火)
「日本産肉研究会」第10回秋季集会
会場:キャンパスプラザ京都 第3講義室
京都市下京区西洞院通塩小路下る JR京都駅ビル駐車場西側 077-353-9111

1部 14:00〜18:00
テーマ 「牛肉の価値を再構築する」

(1)分子栄養学の観点からお肉を食べよう
   定真理子 (新宿溝口クリニック)
(2)給与飼料の違いによる牛肉の種々の違いを考える
佐藤健司(京都府立大学 大学院生命環境科学研究科 教授)
(3)牛肉の新しいブランド戦略
新保吉伸 (株式会社 サカエヤ)
(4)ふる里と人を育てる牛肉のエシカルな評価基準を考える
熊谷元(京都大学 大学院農学研究科 准教授)

2部 19:00〜21:00 交流会(19:00〜21:00)

テーマ:放牧や自給飼料で育った各地の牛肉の食べ比べ
草原短角牛(東北大)、北里八雲牛(北里大)、有機短角アップルビーフ(弘前大)
放牧仕上げの熟ビーフ、グラスフェッドの黒毛和牛(九州大学)、近江長寿牛・・・

会場:きたやま南山
会費:5,000円(90名になり次第締め切り)
075-722-4131


【11/14 日本産肉研究会 第10回学術集会 現地検討会】

日 時:2012年11月14日(水)  
9:30〜12:00(9:15集合)
集合場所:和牛焼肉きたやま南山
見学先:滋賀県・木下牧場 繁殖肥育一貫農家による「近江牛粗飼料生産組合」の取り組み
 参加費:無料  (マイクロバス定員20名)  ◎自家用車による参加はできません。
 ※近畿地域マッチングフォーラム側にも現地見学会の参加枠があります。
昼 食:希望者のみ2,000円 
 琵琶湖畔「プレーゴ」 木下牧場の近江牛ランチ



posted by niiho at 12:05| 近江牛

2012年10月01日

ファンづくりは本音をサイトに反映させているかどうかなのだ...と思う

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今日はセリでいつものように木下牧場の枝肉を落札。
しかし、近江牛の高騰ぶりはいったいどうなっているのか。

購買者のため息が印象的なセリだった。

さて、昨年の10月17日にリニューアルしてから1年が経過しようとしている。

おかげさまで、たくさんのお客様に支持されて、毎月良い結果を残している。

お客さまからの「声」も以前よりたくさん頂戴するようになり
なによりも励みになる。

あるお客様から、かなり分析した感想をいただいたので
紹介したい(内容は私の言葉に置き換えています)

近江牛ドットコムで買う理由は、商品の押しつけがないとこだ。
他サイトは、A5だの雌牛だのとこれって店の主張ばかりで一方通行ではないか。

その点、近江牛ドットコムは都合の悪いことも書いている。

特に霜降り肉のくだりは、そこまでマイナスなことを書いていいのか?
と思いながらも霜降り肉を買ってしまった私がいる。

とまぁ、このようなことを感想として送ってくれる方が結構な人数いるわけだ。

昨日、台風だというのにWINEBARで熟成肉の会を開催した。
WINEと熟成肉とのマリアージュを楽しもうというわけで
大阪や神戸からその道のプロたちが集まった。

WINEBARのオーナーによるセレクトは秀逸だった。
私の好きなワインを選んだだけだと控えめに言っていたが
そのセレクトに共感した人が客となり店を盛り上がるのだと思う。

私の考えも同じで、自分の商品でも欠点をさらけだし、
それでも買ってくれる人が近江牛ドットコムのファンだと思うのだ。


【お知らせ】
近江牛熟成肉の仕上がりが遅れており、このままでいくと11月後半から
しばらく売切れの可能性があります。できましたらお早目のご予約をお願いします。



posted by niiho at 18:42| 雑記

2012年09月28日

素敵な2人の門出に涙、田野畑山地酪農の牛肉を食べ尽くし涙

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きたやま南山の春菜店長が岩手の田野畑山地酪農、吉塚家へ嫁いでいく。
教会で式あげ、きたやま南山で披露宴を行った。

南山スタッフの手作り披露宴は、いままで出席したどの披露宴のときよりも
心が温かくなり涙が溢れた。

50歳にもなると、泣いているのをなんとかバレないようにする恥じらいもなく
涙することが祝福かのように垂れ流しで泣いた。

歳をとると涙腺が弱くなるんかな、と隣席の松井氏は私以上に泣いていたが
涙腺が弱くなるのではなく、いろんな経験を積み重ね感受性が豊かになったと思っている。

ところで、春菜さんが嫁ぐ田野畑山地酪農とは、広大な牧山に放牧された乳牛が
四季を通してシバを中心に野草と湧水を求めて自由気ままに生活している。
つまりは、放し飼いのイメージだ。

一方、黒毛和牛は、狭い牛舎で多頭飼いされ、霜降りになるように育てられる。
肉質においても、自然界を運動する山地酪農の牛肉はガシガシとした硬さがあり
とろける食感なんて微塵にも感じられない。

しかしだ・・・

まぁ、私の見解というか感想は最後に書くとして
当店では馴染みのない乳牛(ホルスタイン)のことを少しお話しすると
乳牛は一般的にみなさんがイメージする白と黒の牛だ。

黒毛和牛の専門店が、看板やチラシなどを作成する際に
専門のデザイナーに頼むと、かなりの確率で白×黒の牛の絵が描かれてくる。

黒毛和牛は、真っ黒であり、それが和牛専門店のプライドのようなところがあったりする。
誤解しないでほしいのだが、かといって乳牛を見下げているわけではない。

もう少し乳牛の話をすると、乳牛は生まれた瞬間から運命が決まっていて
雄なら食用牛として育てられ、雌ならミルク用として育てられる。

ミルクがでなくなった牛はどうなるのですか?
という質問をされることがあるのだが、残念ながら価値がなくなれば廃牛なのだ。

このあたりも、今後の私の課題で、ドライエージングにして
田野畑山地酪農熟成牛としてたくさんの方に食べてもらえれば・・・
などと妄想を膨らませているのだ。

さて、この度の春菜さんの披露宴は南山スタッフの手作りということもあり
料理は、南草津のイタリアン、木村シェフ率いるサルティンボッカさんにお願いした。

新郎の田野畑山地酪農から届いた乳牛は、見慣れている和牛とはまったく異なる
異次元の牛肉といった感じだ。とにかく商品化しずらい。

火を入れると草の香りがプワ〜ンとして食欲がそそらない。
あたりまえだが、だから市場にでないのだ。

しかしだ、歯がとおらない硬さではなく、草の香りもとらえようによっては
自然の味がして体に良い感じもする。

当店の委託牧場でもある木下牧場では、和牛では珍しい放牧をしているので
山地酪農の牛肉は違和感なく、乳牛に関しても私はすんなり受け入れられるのだ。

こうなれば、料理方法によってはすごくおいしくなるのでは。
ということで、毎度毎度のサルティンボッカの木村シェフの出番となったのだった。

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私はステーキでもいけると思ったのだが、木村シェフが仕立てたのは
ローストビーフだった。さすがに筋が入ってしまっているのだが
それが良いアクセントになってかえっておいしかった。

ただ、草のにおいが若干残るので、このあたりは好き嫌いが分かれるところだろう。
次回は、ぜひ赤ワインと合わせてみたい。ぜったい旨いはずだ!


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木村シェフの十八番、リゾットだ。
山地酪農乳牛の筋肉、というより肉を削ぎ落として使用。
これはうまい!草のにおいも全くなく余っていた2杯も食べてしまった。

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こちらは、ピザだ。
山地酪農乳牛をミンチにしてトッピングしたものだ。
普段からピザを食べることがないので1枚のみでデザート待ち。

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楽しみにしていた別腹デザートは、田野畑酪農牛乳で作ったプリン
濃厚すぎて旨すぎて、これも余っているものを次から次へと平らげてしまった。

牛肉から牛乳まで、余すところなく料理し、みんなが笑顔で食べている光景みると
祝福の涙とはまた別の涙も流れてきた。

恭次さん、春菜さん、末長くお幸せに!



posted by niiho at 14:33| イベント

2012年09月23日

「考え方」を売る(2)

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今日の滋賀は朝から雨・・・


半袖では少し肌寒く感じるようになってきました。
気候の変化は商品の変動にも影響があり、今日はすき焼き用の肉やもつ鍋セットが
よく売れている。

先日のこと、東京へ出張で行った時に撮影の仕事をしているという会社の社長さんと
知り合いになった。芸能プロダクションの仕事も多いようで、会話の中で当店の商品を
芸能人に食べてもらってブログに書いてもらい集客につなげてはどうか、
というような案内を受けた。

いわゆる、ステマ(ステルスマーケティング)だ。

バイラルマーケティングを悪用したステマは、ブログであれば「やらせブログ」と呼ばれたり
消費者の誤解を招く恐れがあるので度々問題になっている。

興味のない話だったので、私は会話もほどほどにしてその場を立ち去ったのだが
有名人のステマより、一般人の愛あるクチコミのほうが人から人へと感染する。

少なくとも私はそう思う。

サイトをリニューアルして来月で1年になる。
まだまだ出来ていないことばかりで、各ページの作り込みも中途半端なままだ。

それでも、リニューアル前と比較して、たくさんのお客様に来店いただくようにはなった。
サイトが見やすくなったということもあるが、私が発信するメッセージに共感して購入に至った
という感想もたくさんいただくようになった。

ブログやフェースブックからのクチコミ購入も増えてきた。

ご紹介いただいているみなさま、ありがとうございます。

これからも当店は、牛肉を売るのではなく「考え方」を売っていきたい。

そんなことを真剣に会議で語っています。



posted by niiho at 14:41| 雑記

2012年09月22日

近江牛祭り開催中!地域密着型の店舗を目指して

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ネットではイマイチだった近江牛カレーパンだが、店舗では一番人気だ。
いつもネットでお買い物していただいているお客さんもご来店いただき「おいしい」の
評価をいただいた。

意外と多かったのが、ホルモンは食べたことがないので気にはなるのだが
触手が動かない・・・
そんな方に一番喜んでいただいたのがホルそば≠セ。
あまりにもおいしいので驚かれたり、おっかなビックリの様子が見ていておもしろかった。


9月22日(土)、23日(日)の2日間、実店舗において
秋の大創業祭、近江牛祭りを開催しています。

当店は、折り込みチラシなどの広告系は一切やらないので
告知は会員様へのハガキのみ。

本日22日は10時〜13時まで、ホルそばや近江牛カレー、カレーパンを
無料で試食できるとあって、朝からかなり賑わいました。

小さな店舗なので、お客様が殺到されても困るのですが
いつも見慣れた常連さんが多く、スタッフも余裕でお客様との会話をたのしみながら
接客できてよかったです。

毎月1回のイベントですが、地域密着型の店舗として、当店のブランドが広く認知され
そのうえで取組みを理解していただき、共感≠オていただいたみなさんに応援して
もらえるよう今後もメッセージを伝えて行きたいと思います。


次回は、10月27日(土)です。


posted by niiho at 16:16| イベント

2012年09月21日

商品を売るのではなく考え方を売る

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いやぁー、便利になったものだ。
10年程前、三重県阿山(現在の伊賀市)のゴルフ場へ出入り(肉の納品)していた頃は
とにかく遠くて、いまだから言えるが注文が入ると憂鬱になったものだ。

その伊賀まで新名神を使えば40分ほどで行けてしまう。
あまりにも近いので拍子抜けするほどだが、先日の連休を利用して
「もくもくのすべてセミナー」に参加してきた。

2日間でモクモクファームの現場スタッフの実践的ノウハウを体験するという
合宿型のセミナーだ。

木村社長、吉田専務とは、きたやま南山の京たんくろ事業以来の再会だったが
懐かしんでいる暇もなくお2人の話にメモをとるのに必死だった。

お恥ずかしい話だが、私はモクモクファームへ来たのも初めてだったし
木村社長や吉田専務のことも面識がある程度で、どのような経由で今日に至ったのか
まったく知らないままにお付き合いさせていただいていたのだ。なんとも失礼な話だ。

さて、合宿を終えて私はきたやま南山へ向かった。
楠本社長とサルティンボッカの木村シェフとの秘密の3者会議のためだ。

木村シェフを乗せて一路、南草津へ帰える道中、価格の話について
あれやこれやと意見交換した。

それはここ10年の私と生産者の取組みを振り返ることでもあった。

モクモクの木村社長は、農林水産業の大きな欠点は、価格決定権がないことだと言った。

木村シェフ率いるサルティンボッカは、イタリアンの枠を超えて
新しいチャレンジをしようとしている。

それは、私やきたやま南山の楠本社長、さらには生産者である木下牧場さんと一緒に
商品ではなく「考え方」を売るというものに共感した行動でもある。

その先にあるのは、「価格」の競争ではなく「価値」の競争に他ならない。

いや、争わないから競争ではないかも。

来月からは、私の母校と連携して商品開発が始まる。
まさかこんな形で母校を訪れることになるとは、、、32年ぶりだ。

なんとまぁ、支離滅裂なブログだこと、、、

まぁいいか(笑)




posted by niiho at 16:49| 雑記

2012年09月17日

肉質、脂質、資質、すべての質を上げる

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フランスは畜産大国で一度は行ってみたいと思っているのだが
先日出会ったmasayoさんから聞いた話では、私が想像していたものと
いくつか異なる点がある。まぁこのあたりは日本でも同じで個人の見解レベルなのだが
とりあえず行かなければ・・・。


フランスは日本と違ってすき焼きやしゃぶしゃぶはない。
フランス人が好むのはステーキだ。

焼き方は「レア」が好みらしく、「セニャン」と言うらしい。
とりあえず今は「セニャン」だけ覚えておこう。

写真は、ドライエージングした近江牛熟成肉だが
先日、某所でUS産のドライエージングビーフを食べる機会があった。

それなりにおいしかったのだが、ちょうどマーク・シャッカーの本を
読んでいたところなので、アラン・デュカスが言うような「異なる喜び」を
感じることはなかった。

マーク・シャッカーはUSビーフを量産牛と称し、あえて性質があるとすれば
まるで水道水みたいに、潤沢で安定していて、安価で平凡。
いわゆる工業製品としての牛肉だと言っている。

これに対して、アラン・デュカスは「アメリカならではだね」
そして、それこそが、アメリカのステーキを日本やイタリアのステーキと
区別するものだと答えている。

なるほど、そう考えるとたまにはUSビーフを食べてみるのも悪くない。

masayoさんが飼っているアルモリカン牛は、岩手の短角牛に
よく似ている。

短角牛の肉は赤身で歯ごたえがあるのが特徴。
アルモリカン牛も同じく赤身だ。

しかし、フランスでは評価されないと言うのだ。
なぜなら、サシが入っているからと写真を見せられたが
どこにサシが?というレベルでこれはもうお国柄としか言いようがない。

日本なら100%赤身肉、フランスでは霜降り肉
じゃー、和牛のA5あたりをみたらフランスではどう感じるのだろうか・・・
たぶん、いや、間違いなくこれは脂であって肉ではないと言うだろう。

フランスでの牛の評価は日本と同じく格付けによるものだが
肉用品種だけでも約20種あり、25等級にランク付けされている。
部位も47にわけられるらしい。

日本のようにサシ重視ではないので、霜降り度合いが高ければ高いほど低評価となり
脂肪率等級では、標準的な3が高評価となりもっとも消費者が好のむランクだそうだ。

赤身肉ブームが加速すれば、近い将来日本もそうなるかも知れない。

でも、そうなれば和牛の価値が下がり、アメリカのように量産牛が増え
牛肉の値打ちがなくなるかも知れない。

そうならないためにも、すべての「質」を上げることが重要だ。


posted by niiho at 13:16| 雑記

2012年09月16日

近江長寿牛を食べて健康で長生きしよう!

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「近江牛長寿牛」てなんですか?


昨日この写真をアップしたらこんな質問と言うか問い合わせがあった。

肉牛は、未経産(子供を産んでいない雌牛)が価値があり
牡牛(去勢)よりも高値で取引されます。
※ちなみに私は未経産牛が去勢より価値があるとは思っていません。

子供を産んだ経産牛は、脂が少し黄色くて肉質が硬く、
粗末に扱われることがほとんどで、言葉悪く言えば廃牛扱いです。

加工品になることも多く、精肉として消費者の元へは届かない牛肉です。
それと、近江牛も松阪牛も肥育農家さんが大半なので経産牛は存在しないのです。
※肥育農家さんは、自分ところで子牛を産ませるのではなく8ヵ月ぐらいの子牛を
市場で買ってきます。つまり母牛を持たないのです。

余談ですが、ブランド牛の定義は各団体によって異なります。
たとえば松阪牛は雌牛のみで牡牛(去勢)は除外なので肥育農家さんが大半なのです。

さて、数年前にこのようなイベントをやりました(→クリック

19産した「なかのり号」を美味しい牛肉になるように、再飼育してお肉になった物語です。

牛にとっての幸せとは、おいしく料理してたくさんの人に食べてもらうことです。
いろんな意見、考え方があるかと思いますが少なくとも私はそのように考えています。

実際、なかのり号はものすごくおいしくて食べた方からも絶賛で
通常の近江牛よりおいしかったという声もあったほどです。

いまも多くのリクエストがあるのですが、頻繁に経産牛が出荷されることもなく
たまに繫殖肥育一貫農家の木下さんや後藤さん、藤井さんから経産牛どうですか?
と連絡をいただき、肉にしてから知り合いのレストランや個人で楽しむ程度なのです。

「どうですか?」というのは、もう子供を産めない、つまり種がつかないから
お肉にしてもらえませんか?ということです。

農家さんも私と同じく、廃牛扱いではなく、お肉にしておいしく食べてもらうことが
牛さんのためであると考えているのです。

経産牛のロースは骨付きでドライエージングにしているのだが、他の部位は
肉自体が硬いので細かく切れ目を入れて焼肉としていただいている。

これがほんとうにおいしくて赤身好きにはたまらない味わいなのです。

こんなにおいしい肉を「経産牛」と呼ぶにはあまりにも失礼だということで
私は「近江長寿牛」として商標登録してブランドを立ち上げたのです。

ただ、ホームページでは未販売のためあまり知られていないのが現状で、
それでは、本来の意味をなさないということで現在販売に向けてページ作成中なのだ。

なぜ、近江長寿牛なのか?というネーミングに関する話を少しすると
新宿溝口クリニックの溝口先生の著書「がんになったら肉を食べなさい」に
こんなことが書かれている。

文明化される前の時代のイヌイットの方々は、海の魚を主食としているアザラシや
シロクマの肉を多く食べていたため、身体の中にn-3系脂肪酸であるEPAが高濃度に
含まれていました。

その当時の疾病率を、同程度の経由で文明的な生活をしていたデンマーク人と比較
したものが図-2です。(本には図があります)

イヌイットの人たちは、心筋梗塞の発生率が低かっただけではなく、乾癬、喘息、胃潰瘍
などの発生率も低く、さらにはがんの発生率も低くなっていることがわかります。

ところが、その後、イヌイットの方々は食生活が大きく変わり、現在では多くの方々が
糖尿病や心臓を患い生活習慣病に罹患するようになっていると聞いています。

とまぁ、このようなことがズラズラ〜と書かれているわけだ。

近江長寿牛(ここからはこう呼びます)は、サシがほとんどなく
赤身が強い肉質です。

以前から何度も書いているが、肉の赤身部分にはL-カルニチンが多く含まれており
L-カルニチンには、体脂肪の燃焼に役立つ成分が含まれている。

さらに、赤身の肉は、鉄分も多く、血液を作り代謝を上げるのにも役立ち
ビタミンAやビタミンB12、亜鉛なども含まれている。

ご存知のように、人間の体のほとんどは水分でできている。
次に多いのが「たんぱく質」になるのだが、筋肉、骨、皮膚、爪、
これらはすべてたんぱく質で、ダイエットしている人でカロリーを控えるために
牛肉を食べない、という方が結構多い。

たしかに体重は落ちると思うが、たんぱく質をしっかり摂れていないので
やつれて見えたり、老けてみえる。
タンパク質を摂らなければキレイに痩せないのだ。

私は、仕事の関係上、どうしても外食が多くなるのだが
ある程度の節制はするものの、食べるたんぱく質は減らさない。

たんぱく質を減らしてしまうと、筋肉量も落としてしまうので
体重は減っても、それは筋肉が減っただけのこと、結果として体脂肪に変化はない。

先にも書いたが、食事制限でたんぱく質を摂らないと
見た目がやつれた感じになり、老けこんだ印象になってしまう。

タンパク質は、体内でも作られるがそれはほんのわずかなもの。
少ないたんぱく質は、内臓、筋肉、骨といった生きるために必要なところに補給され、
生きるために優先順位が低い、髪の毛や皮膚には行き届かなくなる。

では、どのようなたんぱく質を選んで摂ればいいのか、というとなのだが、
実は赤身肉が最適なのだ。

私は最強の赤身肉こそ近江長寿牛だと思っている。

その肉質、食感、何と言っても食べた後のスッキリ感は通常の和牛では
味わうことのできない充実感がある。

赤身肉を食べて健康になろう!そして長生きしよう!

これが、近江長寿牛のキャッチフレーズなのだ。

ページ作成中につきご購入いただけるまであと少し、ぜひご期待いただきたい(^^)



posted by niiho at 13:16| 健康

2012年09月15日

小さな専門店が生き残るためには「ここだけ、いまだけ、この商品だけ」

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老眼鏡を紛失してしまった。
たぶん、熊本のどこかにあるはず。


日常生活で不便はないのだが、本を読むときに文字がかすんで見えるので疲れる。
仕方がないので近所の眼鏡屋さんへ。


老眼鏡なので100円ショップでも良さそうなものだが
どうせならカッコいいのが欲しい。


近所の眼鏡屋さんは、ブランド物ばかりでフレームだけでも
25,000円とか30,000円はする。
レンズと合わせると50,000円近くする。


なんでこんなに高いの?
10,000円も出せばええのんあるやん?


など質問すると、安いのは中国製ですしフレームが折れやすいなどなど
それなりに専門的な回答をしてくれた。


しかし、いくらなんでも老眼鏡にこの値段は高すぎる。
でも、めっちゃ似合う(自分比)1本があったので心がグラグラと揺らぐ。


とりあえず老眼検査をしてもらうことに。
20分ぐらいあれやこれやと検査したかな。
こういう検査はあまりしないのでさすが専門店と感心することしきり。


1時間ぐらい店主と話しながら迷いに迷って「ちょっと考えさせて。家そこやしまた来ますわ」
てな感じで店をでた。


私が迷ったのは値段もそうなのだが、店主の「買ってくれ」が見え隠れしたからだ。
しかも、出来上がりに1週間程度かかるという。そんなに待てるかいな。


でも、店主がキレイな女性だったら買ったかも知れない。
ハゲ散らかったおっさんでは・・・
(暴言ごめんなさい)


翌日、私用で大阪へ。


JR大阪駅から直結のルクアで時間をつぶしていたらZoff発見。
Zoffといえば国内137店舗もあるチェーン店。
値段も5,250円〜9450円と安いし30分もあればできると言う。


こういう店はあまり好きではないが、時間つぶしで老眼検査をしてもらうことに。
近所の専門店がやったのとまったく同じだ。


ただ違うのは、説明がすごく丁寧で買ってください的なことがまったくない。
若いぽっちゃりした男性だったが、一生懸命に説明するものだから汗だくだ。


15分ぐらいで検査が終わり、まだ時間に余裕があったのでフレームをみることに。
今度は女性のスタッフが対応してくれたのだが、これがまた親切丁寧で5,250円と
7,350円、9,450円の違いなどを説明してくれた。


結局、買ってしまった。


近所の眼鏡専門店、完全に負けてるやん。


個人でやってる眼鏡屋さんは専門店ならではの知識や技術、サービスがウリで
それがチェーン店に太刀打ちできる唯一の強みのはずなのにこれでは生き残れないわけだ。


牛肉だってそうだ。
私が幼いころの牛肉は「ご馳走」感が強かったが、いまはどこででも購入でき
どこででも気軽に食べられる。


そこで当店のような小さな専門店が生き残っていくには、安心、安全、おいしい
だけではダメで、今月初めに高知でお聞きした馬路村農協の東谷組合長がおっしゃっていた、
「ここだけ、いまだけ、この商品だけ」が鍵になるのではないだろうか。


専門店を名乗る以上「プロ」でなければいけない。
知識、技術はもちろんのこと、人間力がものを言う。


あなたは、自分の商品について最低でも1時間は語れますか?


各地の講演でよくこの質問をする。


もちろん私は牛肉のことなら1時間でも2時間でも
黙れと言われるまでしゃべり続ける自信がある。


牛が好き、肉が好き、そしてなによりもプロですから。



posted by niiho at 18:43| 雑記